田中ミノル式  FF 機械式 LSD 完全解説  「曲げるための LSD 有効活用法」⑤

2015年01月24日(土)







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では、今回は、LSD が装着されていて、はじめて活用できるドラテクのお話です。

(そうです! この部分が、LSD 装着における最大のメリットなのであります!!)





LSD を 「コーナリングパーツ」 として活用する

田中ミノル式 「曲げるための LSD 有効活用法」 

それは、タイトコーナーのクリッピングポイント周辺におけるドラテクにあります。







そして、いよいよ、そのドラテクを伝授したいのですが・・・・・、

その前に、まず、オープンデフと、LSD の 「トラクション配分の違い」 を

理解いただく必要があります。






オープンデフ →  いつでも、左右均等に トルク (トラクション) を伝える

LSD      →  伝える トルク (トラクション) が、状況により左右で変化する







重要なこと、それは、LSD を装着した場合、

直進状態では、エンジンの トルク (トラクション) は両輪に均等に振り分けられますが、

コーナリング & 荷重移動 により、タイヤのグリップに左右差が発生すると、

分配されるトルク (トラクション) は、左右均等ではなくなるということです。






ちょっと、混乱しますよね・・・・。

だって、LSD が装着されているほうが、いつも左右のタイヤが同じ強さ (トルク) で、

駆動されている、イメージがありますからね・・・。





でもね・・・、よ~く考えてください。

コーナリング中、左右のタイヤのグリップは、いつも、同じではありませんよね?




たとえば、100馬力のエンジンを搭載していて、

ストレートでは、左右のタイヤから、

各々50馬力分のトラクションを路面に伝えていたとしましょう。



この状態から、コーナーに進入すると、外輪には、大きく荷重がかかり、

グリップは向上しますが、内輪は、荷重が抜けた状況となり、グリップは低下します。



こうなると、たとえ デフロック 状態であっても、

タイヤのグリップ分しか、トラクションは路面に伝わりませんので、

内輪 30馬力分  外輪 70馬力分 といったように、

エンジンのトルク (トラクション) は、タイヤのグリップによって、左右に分配されてしまうのです。







そうです! ここで言う、トルク (トラクション) の強弱とは、

「路面に伝わるトルクの強さ」 となりますので、

タイヤのグリップ状態によって、変化することになるのです。





問題は、この左右のタイヤに伝わるトルクが、どのように、振り分けられるかですよね。





それを カンタンに理解するためには、もうひとつ覚えなければならない法則があります。





その法則とは・・・・・、

LSDでは、 「負荷が低い方から、負荷が高い方へ、トルクは流れる!」

ということです。









要するに、エンジンから発生したトルクは、負荷が高いタイヤには、多く割り振られ、

負荷が低いタイヤには、あまり割り振られないということです。





コーナリング中、大きく荷重移動されている状態 (外輪→荷重大 内輪→荷重小) では、

タイヤのグリップが左右で異なり、大げさに言えば、外輪 275幅のタイヤ、 

内輪 125幅のタイヤ といった感じとなり、圧倒的に外輪のグリップが高くなります。



この状況で、アクセル(加速)や、エンジンブレーキ(減速)を使用すると、

外輪の負荷(グリップ)が大きいことから、内輪にかかっていたトルクが、

外輪に振り分けられることになります。





結果、外輪の方が強いトラクションを発揮する・・・、

というのが、LSDの正体 (田中ミノル式 ドラテクには、一番欲しい特性) なのであります。



だって、クリッピングポイントからの加速中に、

外輪のトラクションが強いということは、すご~く曲がることにとっては、好都合です!









たとえば、直進状態であっても、

駆動輪の 右に 275幅のタイヤ、左に 125幅のタイヤ (外径は同じと仮定)

を装着した場合、大きなトラクションをかければ、クルマは左に曲がろうとしますよね?





ですから・・・、コーナリング中、外輪へ振り分けられるトルクが強い状況では、

とっても曲がりやすい環境が発生するのです。











では、ここまでの解説を図によって、おさらい してみましょう!







まず、直線状態では、左右均等にトラクションはかかります。

(ここは、LSD 装着車でも、オープンデフでも同じですね)









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でも、コーナーで荷重移動が発生すると、

内輪のグリップが減少し、外輪のグリップが増加します。



すると、LSD の場合、トルクが外輪に振り分けられますので、

とっても曲がるのに、有利な状況が発生するのです。










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ただ・・・・、この曲がりやすい環境を作るには、ドラテクが必要となります。



なぜなら、LSD を装着すれば、どんな状況でも、クルマは曲がりやすくなるのではなく、

ドラテクを駆使し、ある一定の条件を満たしたときに

この 「曲がりやすい環境」 が作れるからです。









では、ドラテクを交え 

順を追って、タイトコーナーにおける LSD有効活用方法を伝授しましょう!





まず、「トラクション性能の向上」でも解説しましたように、

ブレーキングを伴うコーナーの場合、ドライバーの作業は、





① アクセル OFF

② ブレーキング(減速のためのブレーキング)

③ 徐々にブレーキリリース(曲がるためのブレーキング)+ ステアリング

④ 完全にブレーキリリース + 最大舵角






の順です。





たとえば、FF 車両 & 左コーナー で考えると、

グリップの100%をヨコ方向に使用している 上記④ の状況では、

大きな荷重移動が発生していますので、

タイヤのグリップは、右フロント → 大  左フロント → 小 の状況となります。





そして、この状況から車速が落ちる等、少しでもグリップに余裕ができれば、

ドライバーは、ヨコ方向のグリップが不要になる分のみ、

ほんの少しアクセルを踏み、タテのグリップを使用することが可能となります。



もちろん、ここで、ドライバーが少しでもアクセルを踏み過ぎると、

曲がる(ヨコ方向のグリップ)と、加速する(タテ方向のグリップ)の両方を要求される

フロントタイヤは、グリップの限界を越えてしまいアンダーステアが発生してしまいます。

(グリップの80%をヨコ方向に使用している状況で、30%のトラクションを加えた状況等)



ですから、グリップのギリギリを狙って、ほんの少しだけアクセルを踏み始めます。




すると・・・・・、このアクセルにより、LSD のロックが始まります!




そうです! 

荷重移動により、外輪に荷重が片寄っている状況で、LSD がロックされることで、

トルクを負荷の強い外輪に振り分けますので、外輪のトラクションは、内輪より強くなり、

「一気にクルマは曲がり始めるのです!」



このクリッピングポイント周辺で、ほんの少しアクセルを踏む (アクセル開度5%~20%レベル)

テクニックこそが、「LSD乗り」 と呼ばれるドラテクなのであります。









ポイントはアクセルを踏む量です。


もし、クルマが加速するぐらいアクセルを踏めば、

タイヤの限界を一気に超えて、アンダーステアとなります。


だから、ここのアクセルは、加速のアクセルではなく、

LSD をロックさせるためのアクセルが必要となります。



また、ここでアクセルを踏むために、進入のスピードを控えたり、

スローインファーストアウトのラインを使用すると、アクセルを踏むタイミングで、

荷重の移動量が少なくなることから、効果が半減します。






ですから、しっかりコーナーへ飛び込んで、

クリッピングポイント直前に、十分に荷重移動している状況を作り、


「ここからアクセルを踏んだらアンダーになるだろうなぁ・・・」 というポイントから、

LSDをロックさせるために、加速させないように、ほんの少しアクセルを開く。


このテクニックこそが、「LSD乗り」 の正体であり、

LSD を最大限に曲げることに、有効利用するドラテクとなります。









ポイントをまとめますと・・・・、


1) タイヤがグリップしていること

2) 大きな荷重移動が発生していること

3) 早いタイミングで、ほんの少しのアクセル



という組み合わせが必要となり、一番曲がりやすい状況を作るには、

荷重の移動量、アクセルを踏む量とも、かなりピンポイントです。

(ここは、いろいろなパターンをトライして、一番曲がるパターンを探してください!)










そして、FF 車両の場合、駆動輪と、操舵輪が同じですよね・・・・・。


ということは、ハンドルが切れた状況で、

LSDがロックし、外輪のトルクが強くなりますよね・・・。



そうです、この曲がるのには、とても好都合な

そして、特殊な状況によって、クルマは、驚くほどグリグリと曲がり出します!










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ですから、はじめは、LSD をロックするためだけに、ほんの少し踏んだアクセルは、

「クルマが曲がること」 によって、どんどん開けることが可能となり、

「アッ」という間に、全開となります。






では、この一連の操作をドライバーの心境を元に解説すると・・・、




① レイトブレーキ気味に飛び込んで、うまくブレーキリリース

(コーナーのボトムスピードを上げるイメージ)


② 完全にブレーキリリースするポイントを ほんの少し早めに設定 


③ ここからアクセル踏んだら、絶対にアンダーになるなぁ・・、というポイントと

スピードで、ほんの少しだけアクセルON(なぜだか、身体にちょっとだけ力が入る・・・・)


④ するとLSD がロックされ、クルマはどんどんインを向く!

タイヤのグリップを超えた、なんだか異次元の曲がり!!  


⑤ クルマは強烈に曲がるので、アクセルも一気に開いていく 


⑥ えっ・・・、こんなハイスピードのまま、曲がれちゃった




といった感じとなります。

(伝わりましたでしょうか・・・?)





かなり、複雑な話となりましたが、これが、FF 機械式 LSD のメリットであり、

「曲げるための LSD 有効活用法」なのであります。







ですから・・・・、

曲げるためにLSD を活用するには、上記のような独特のドライビングと、

このドラテクに完全リンクした LSD のセットアップ が必要となり、


この両方が そろわない と、、いくらLSD を装着しても、

「タイムが速くならない・・・」といった状況が発生してしまうのです。












ドラテク的に、よくあるNGパターンとしては・・・・、



オープンデフの時と同じように、

アクセルがガッツリ踏める状況になってから、一気に アクセルON! とか・・・・、

(クリッピングポイント付近にて、ほんの少しだけのアクセルが踏めない)



ブレーキリリースの精度が悪く、

クリッピングポイント手前で、アンダーステアを出してしまう とか・・・・、



進入スピードが甘く、

クリッピングポイント周辺で、大きな荷重移動状態を作れない とか・・・・、



アクセルを早く踏みたいので、立ち上がり重視のラインで進入・・・・では、

まったくLSD を有効に使用できませんので、上記のドライビングに心あたりのある方は、

ぜひぜひ、田中ミノル式 LSD ドラテクを試してみてくださいね!











では、次回(最終回)は、減速時のメリットを解説します!