サスペンション
TM-SQUARE ピロアッパーマウント解説 ②

2010年09月10日(金)

 

 

少々、時間が空きましたが、今回は、前回の続きを。

 

 

筑波スーパーバトルで、純正アッパーマウントが、動いて、

キャンバーが減少していた事実。

 

 

その証拠写真が、コレです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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結構、ビックリでしょ?

 

(推定2センチは動いてる・・・・・)

 

 

ということで、だったら、

「動かないものを作ればよい」 ということで、

TM-SQUARE ピロアッパーマウント の開発は始まりました。

 

 

 

 

そして、

アッパーマウントの構造を変形しないアルミブロックとし、

内部にピロポールを装着するという仕様としました。

 

 

 

 

 

img_42431

 

 

 

これで、コーナリングフォースによって、

ダンパーの装着ポイントが動くことを回避でき、

走行中にキャンバーが減る症状が大きく抑制されるハズです。

 

 

 

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で、早速、コーナリングフォースが一番かかかる、FSW のメインコースに

テストへ出かけました。

 

 

 

試作ピロアッパーマウントのパフォーマンスは、コースインしたラップから

確実に、そして、明らかでした。

 

 

 

一番、「Gフォース」 のかかる、100R では、

驚くほど、クルマは、曲がってくれます。

 

 

これは、感動的でしたね~。

 

 

 

これに、1コーナーのような、2速のコーナーも、

今までは、アンダーステアになると、

コーナーを抜けるまで、ずっとアンダーステアだったのが、

アンダーステアになっても、途中で復帰してくれるのです。

 

 

 

このときに、改めて、今まで(純正アッパーマウント)は、

ダンパー取付け位置が動いて、キャンバーが減少していたことが、明確となりました。

 

 

 

また、ステアリングレスポンスも

より、リニアになり、タイヤの状況も、ダイレクトに伝わってきます。

 

 

も~、これは、衝撃的でした!

 

 

そうです、スーパーバトル後に、我々が考え、そして、作った試作品は、

完璧に、的を得たものだったのです!

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

サスペンション
TM-SQUARE ピロアッパーマウント解説

2010年09月06日(月)

 

 

さて、今回から、TM-SQUARE ピロアッパーマウント の詳細と、

なぜ、ピロアッパーマウントを作ろうと思ったかとか、

 

ピロアッパーマウントのメリット、デメリットは、どんなことなのか等々、

ジックリ解説していきたいと思います。ハイ。

 

 

 

まずは、作ろうと思ったキッカケは、昨年末に開催された、

筑波2000 スーパーバトルでの出来事でした。

 

 

 

 

2009_dec09-04991

 

 

 

TM 1号車は、フロントキャンバーを -5.8°に設定し、

渾身のアタックを行ったのですが、走行後のセットダウンで、各部をチェックしていると、

明らかに左フロントタイヤの外側が、磨耗していました。

 

 

そうです、タイヤの 「外あたり」 状況が激しいのです・・・・・・。

 

 

このキャンバー角で、これほどまで、「外あたり」 することは、まず考えられず、

「どこかで、動いてはいけない、何かが動いている」

という結論に達しました。

 

 

 

そして、その後の検証により、この犯人は、

純正のアッパーマウントであることが、判明しました。

 

 

 

要するに、大きなコーナリングフォース(ヨコG) が

発生すると、ゴムのブッシュである純正のアッパーマウントが、変形して、

ダンパーの装着ポイントが、外側に動くのです。

 

 

 

 

下の図を見て下さい。

 

 

 

 

 

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このダンパーの装着ポイントが、外側に動くと、キャンバーが減る方向となるため、

タイヤの 「外あたり」 が、発生し、有効な接地面が確保されません。

 

 

 

このことが原因で、

アンダーステアも強まっていたのです。

 

 

もちろん、この症状は、

大きなコーナリングフォースが、発生すればするほど、

悪化の一途をたどってしまうんですね~。

 

 

つづく!

 

 

 

サスペンション
TM ピロアッパー完全適合!(トラスト ダンパー編) 

2010年09月03日(金)

今日は、TM ピロアッパー のトラストダンパーへの、

マッチング編です。

 

 

ご存知のように、トラストダンパーは、正立式ですので、

ダンパーの減衰力調整は、ダンパーの上部に位置します。

 

 

 

しかし、TM ピロアッパーは、

ダンパーシャフトを固定するナットが、特殊形状となり、高さがあるんです・・・。

 

 

 

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だから、TM ピロアッパーをトラストダンパーに装着すると、

このナットから、ダンパーシャフトが飛び出す量が足りず、

減衰力調整用ナットが、取付けできません。

 

 

 

p1190789

(写真はイメージです)

 

 

そこで、オーリンズダンパーと同様に、

ダンパーカラー の長さを変更した、

「トラスト専用 ダンパーカラー」 を作りました。

 

これで、ダンパーシャフトが、ナットを貫通しますので、

 

 

 

p12507181

 

 

 

減衰力調整用のナットも、

問題なく、装着することが可能となります。

 

 

 

 

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が、しかし・・・・、

室内から、減衰力を調整できるリモートコントロールキット は、

カウルトップ(上部のプラスチック製カバー)とのクリアランスが十分になく、

装着することができません・・・・・。

 

 

 

 

p12507201

 

 

 

よって、トラスト ダンパー の場合、

「トラスト専用 ダンパーカラー」 を購入いただいても、

手動式減衰力調整のみの適合となります。

 

 

「トラスト専用 ダンパーカラー」 は、

近々、リリースの予定ですので、

 

リリース後は、手動式減衰力調整のみ、

装着可能となりま~す。

 

今しばらくお待ちを!

 

 

 

以上、

トラストダンパーとのマッチングでした!!

 

 

 

サスペンション
今週末は、「匠の日」 !

2010年08月23日(月)

 

 

イベント続きで開催できなかった、

月刊 「匠の日」 が、今月末から、復活します。

 

 

そうです、今月末の8/28-29 は、

弊社 町田物流倉庫で久しぶりの 「匠の日」 なのです。

 

 

 

匠の日 の詳細は、こちら。

 

町田物流倉庫 の地図は、こちら。

 

 

 

今回の 匠メンバーは、

 

片山メカニック、アベちゃん、

そして、初登場の イワちゃんです。

 

 

イワちゃんは、スーパー耐久や、GT500(ワークスチーム)の

メカニックとして活躍していたのですが、

このたび、独立し、ガレージを開くんですね~。

 

 

 

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少々、歳は食らってますが、技術はピカイチですので、

「匠の日」 に作業予約を入れた方は、楽しみにしておいて下さい!

 

 

 

また、「匠の日」 では、かねてから、

イベント限定で販売してました、ピロアッパーも、販売&取付けを行います。

 

 

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そして、イベント当日に、このピロアッパーが、

オーリンズダンパーへ完全適合が取れるように、

秘密のパーツも準備ができてます。

 

 

このパーツで、SA東雲で発生した、

「ステアリングを切ったときに発生する異音」 の問題が解消すれば、

いよいよ、リリースも、はじまりますよ~。

 

 

イベントで、装着された方からは、

かなり、絶賛! のレポートもいただいていますので、

今から、リリースが楽しみです!!

 

 

でも、その前に、シッカリと、

適合確認を行いたいと思います。ハイ。

 

 

 

 

また、イベント当日は、我が家の愛犬

「ラティー」も、登場予定です。

 

 

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お時間がある方は、ぜひ!

 

 

作業予約、商品についてのお問い合わせ、

作業工賃についてのお問い合わせは、

 

 

TEL 03-5706-1888

メール mail@tm-square.com

 

 

 

まで、よろしくお願いします!

 

 

 

HYPERCO
HYPERCO が、HYPERCO である理由。

2010年06月22日(火)

先日、HYPERCO を

取り扱っていただいている、お店の方から、

お叱りを受けました・・・・・。

 

 

 

「なぜ、同レート、同レングスでも、

商品が届くたびに、形状が違うのか?」

という内容でした。

 

 

 

確かに、他社のスプリングでは、

以前に使用したものと、

まったく、同形状のものが送られてきます・・・・・。

 

 

 

もちろん、その理由については、

数年前に、HYPERCO の本社 (アメリカ インディアナポリス) を

訪問したときに、工場内で、半日以上かけて、説明を受けています。

 

 

 

でも、私が説明を聞いてから、

数年経っていることもあり、自分の勉強のためにも、

再度、HYPERCO のマネージャーに

問い合わせを入れてみました。

 

 

 

 

結果・・・、

 

以前に聞いたことと、まったく同じ内容が、

返信されてきました。

 

 

 

 

内容をカンタンに説明すると、

 

競技用スプリングにとって、

最も重要なことは、ルックスではなく、

スプリングレートをはじめとする、各部の性能が、

設定値により近く、均一していることが、

HYPERCO のプライド だということです。

 

 

 

返信されてきた、英文を

英検無級? の田中が翻訳すると・・・・・、

 

 

 

スプリングは「機械加工」や、「組み立て」 によって製造される製品ではなく、

「形成」 により、製造される製品です。

 

機械加工されて組み立てられた製品は、コンピュータ管理による、

マシンがあれば、設計どおりに製品は製造されますが、

形成部品は”CNC”製造設備があってもそれに似ていません。

 

なぜなら、スプリングは、「フォーム」 して作るものだからです。

(フォーム=形成です)

 

まず、ベースワイヤの製造者はどんなワイヤ直径にも製作公差を設定します。

「私たちが使用するサイズの場合では、その変化は+/-0.002です。」

さらに、私たちが使用するワイヤの引張り強度には、27万5000psiから

29万5000psiの範囲があります。

 

これは世界中の一般的な産業習慣です。

 

我々は、この材料の進化をいち早く取り入れているので、

ワイヤ径や、巻き数等、完成品での見た目に変化が出ることがあります。

 

 

もちろん、設計力も絶えず進化していますので、

新しいワイヤ径と巻き数のバランス等、スプリング性能が向上するものは、

すぐに取り入れています。

 

 

 

 

という、内容でした。

 

 

 

また、マネージャーから送られてきた、メールの最後に、、

いかにも、HYPERCO らしい言葉がありました。

 

 

 

I hope this helps clarify issues for your customer.

In the highly competitive world of motor racing,

we at Hyperco are constantly trying to improve our product

to stay on top of our market.

I have worked in the high performance aftermarket

for 38 years for some of the most respected names in performance.

I can honestly state that no company I have previously been associated

with has ever been so dedicated to the improvement

of the product line as Hyperco.

 

 

私は、これがあなたのユーザーに対して、問題をはっきりさせる手助けに

なることを望みます。

 

モーターレーシングの非常に競争的な世界で、我々Hypercoは、

絶えず業界TOPにとどまるために、製品を改善しようとしています。

 

私は、パフォーマンスで名の知れた数社で、

38年間、高性能アフターマーケット業界で働いてきましたが、

私が以前に関わった、どの会社も、Hyperco ほど、

製品ラインの改善を行っていないことを、私は正直に述べることが出来ます。

 

 

 

 

 

HYPERCO が、HYPERCO であり続けられる理由。

それは、いつまでも進化し続けると言うことなんですね。

 

 

 

改めて、HYPERCO スプリングを販売できることを

誇りに思います。

 

 

 

いや~、やっぱ、スゴイです。

HYPERCO !

 

また、好きになっちゃいました。

 

 

 

 

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HYPERCO
HYPERCO は、やっぱ スゴイ!(匠の日編)②

2010年04月30日(金)

 

 

いよいよスタートですね、

ゴールデンウィーク!

 

 

 

でも、田中は、5/2~5/4までの

4連休に向けて、今日も明日も仕事なのです。

 

 

 

 

 

さてさて、今回も、

スイフト & オー〇ンズ ダンパーの

リアスプリングのお話です。

 

 

 

 

 

前回、車高 -30mm なら、

TM ストリートスプリングがお奨めと書きましたが、

 

 

 

今日は、

 

もっと車高を下げたい!

もっと高いレートにしたい!!

 

 

というニーズのお話を。

 

 

 

 

スイフトのリアサスペンション は、

セパレートタイプのため、

スプリングの長さが、とっても重要です。

 

 

 

 

 

なぜなら、ダンパー全長が長くて、

スプリングが短いと、ジャッキアップ時に、

遊びが出てしまいます。

 

 

 

 

 

そこで、車高が落ちて、

全長の長い、プログレッシブ タイプが、

使用されるケースが、多いんです。

 

 

 

 

でも、ドライブフィールは、

前回書いたように、良くありません・・・。

 

 

 

 

 

そこで、HYPERCO スプリングの

登場となるのですが、

HYPERCO スプリング は、シングルレート タイプなので、

 

 

車高を落とすには、全長の短いスプリングを

使用するしか手がありません。

 

 

 

 

そうです、シングルレート タイプの

メリットは、素晴らしい乗り味 となり、

デメリットは、スプリングが遊ばないように、

全長の長いスプリングを入れると、

車高が落ちないことなんです。

 

 

 

 

こんなとき、

リアダンパーが、全長調整タイプなら、

ダンパー短くすることができますので、

短いスプリングを装着しても、遊びが出ません。

 

 

 

 

 

でも、オー〇ンズ ダンパーのように、

全長調整ができないタイプでは、

車高のために、短いスプリングが装着できません。

 

 

 

 

そこで!

 

 

ダンパー本体には無加工で、

ショートストローク化ができる、

TM オリジナルの

ショートストローク化 アタッチメント さえあれば、

設定車高と、レートチョイスの選択肢が、

グッ、グッと増えるのです。

 

 

 

 

たとえば、HYPERCO

ID65 7インチ のチョイスなら、

 

 

 

 

レート         最低車高(純正比)

275ポンド(4.9k)     -34mm

350ポンド(6.3k)     -28mm

400ポンド(7.1k)     -24mm

450ポンド(8.0k)     -22mm

(ショートストローク化 アタッチメント 65タイプ使用時)

 

 

 

 

 

HYPERCO

ID60 6インチ のチョイスなら、

 

 

 

レート         最低車高(純正比)

350ポンド(6.3k)     -54mm

450ポンド(8.0k)     -48mm

500ポンド(8.9k)     -46mm

550ポンド(9.8k)     -44mm

600ポンド(10.7k)    -42mm

(ショートストローク化 アタッチメント 95タイプ使用時)

 

 

 

 

 

そして、

 

TMサーキットスプリング(6.3k)のチョイスなら

 

 

 

ショートストローク化 アタッチメント

65タイプ使用時で、-38mm

95タイプ使用時で、-58mm

の最低車高(純正比)となります。

 

 

 

 

 

もちろん、上記の最低車高から、

スプリングシートの位置を変更して、

車高を上げることは可能ですが、

スプリングにプリロードがかかりますので、

最低車高近辺で使用するか、

車高を上げたとしても、最低車高から、

+10mmぐらいの設定にすることを

田中は、お奨めしています。

 

 

 

 

 

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必要なパーツは、

 

 

 

スプリング 2本

ショートストローク化 アタッチメント (65または、95タイプ)

オリジナルスプリング アタッチメント

 

 

 

となります。

 

 

 

 

 

 

でね、先日の 「匠の日」 に、

田中と、ガッツリ打ち合わせを行い、

 

 

 

オー〇ンズ ダンパーに、

TMサーキットスプリング(6.3k) を

装着された方がいらっしゃいました。

 

 

 

 

 

その方から、

お礼のメールをいただきましたので、

ちょこっとご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

 

以下、ユーザー様からのメールです。

 

 

 

25日、匠の日にオリジナル サーキットスプリング(リア用)とオー〇ンズDFV専用

ショートストローク化アタッチメントを取り付けしてもらった〇〇です。

本日、早速、箱根まで走りに行って来たので感想を送ります。

今回、リアスプリング交換の目的はTM SQUAREのダンパーキットの発売を

待ちきれずに買ってしまったオー〇ンズDFVの不満解消の為です。

私はバイクでオー〇ンズを装着していた時の好印象があったので車でも

オー〇ンズなら満足させてくれるだろうとTMダンパーを待ちきれずに導入して

しまいました。しかし実際は全く満足出来ず駄目でした。理由はリアのスプリングが

やたらと柔らかく、加速時にフロントの接地感が全く無くなってしまい、楽しく走る事が

出来ないからです。そこで今回のハイパコとショートストロークアタッチメントと

オリジナルスプリングアタッチメントのSET導入となった訳です。

結果は私の予想以上の変化でした。勿論、良い方向への変化です。

まず感じたのはハイパコのインプレッションとしてよく見かける『フラットライド』ですね。

箱根へ向かう途中の高速道路での印象は正にフラットライドのそれで、シートから

感じるインフォメーションが今までとは大違いです。

使い古した表現ですが まるで路面を舐めるような感じです。突き上げ感も皆無ですね。

スプリングレートがオー〇ンズのノーマル4kgf/mmから倍近く高い7.3kgf/mmに

なっているとは思えないほどの乗り心地良さと安定感が際立ちます。

この安定感と乗り心地は一般道でも全く変わらず箱根の峠道でも今までの様な

加速時の接地感の無さから解放されて気持ちよく走る事が出来ました。

ただ問題なのはリアが良くなり過ぎてしまったせいか、フロントにバタバタ感を

やたらと感じてしまい、『フロントも替えたら気持ちよさ倍増だな…』とか思いながら

時間を忘れて走りに集中してしまいました。

スイフトオーナーは私のように先急いでオー〇ンズDFVを導入してしまった人が

多いと思います。そしてネジ式車高調整故のスプリング交換が ほぼ不可能という

ジレンマに苦しんでいる人は多いのではないでしょうか。

しかしTM SQUAREのオリジナル サーキットスプリングSETさえ導入すれば一気に

不満解消間違い無しです。もっとTM SQUAREで積極的に宣伝すれば、

オーリンズオーナーは幸せになれるんじゃないかな~と思いますよ。

長くなりましたが感想は以上です。

それと取り付け時に走りの匠たる実さんのアドバイス、本当に参考になりました。

HPに書いてある通り、実さんって本当にスイフトが好き…というか愛しているんだ

なって伝わってきましたよ。また取り付けして下さったメカニックの匠である望月さん、

阿部さん(漢字あっていますよね?)、丁寧な仕事をありがとう御座いました。

次回、フロントスプリングの交換の時もよろしくお願いします。

良い製品の開発、ありがとう御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

いや~、すごい内容でしょ?

あまりに嬉しくて、田中のブログで、ご紹介しました。

 

 

 

 

 

 

スイフトのサスペンションチューニングは、

やっぱ、リアが重要ですよね。

 

 

 

 

 

 

これからも、

そのことが、徐々に解明されて、

近い将来、スイフト いや、FFの

サスペンションチューニングのトレンドに

なるように感じている、今日この頃です。ハイ。

 

 

 

 

 

 

では、次回は、車高バランスの話しを少し。

 

 

 

 

サスペンション
ダンパー講座④ HYPERCOの登場と減衰力の関係

2010年03月29日(月)

 

ダンパーに求められる、

「スプリングと分業化するための減衰力」 は、

HYPERCOスプリング の登場で、大きく変化しました。

 

 

 

なぜなら、HYPERCO 登場以前のスプリングは、

縮み始めのレート特性が、規定レートより低いタイプが、主流だったからです。

 

 

 

この、プログレッシブタイプのような特性を持ったスプリングでは、

同レートであっても 0G → 1Gまでのストローク量が、

大きくなってしまいます。

 

 

 

下の図を見てください。

 

 

 

 

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たとえば、スプリングレートの表記が、

10kg/mm の2種類のスプリングがあったとしましょう。

 

 

 

これらのスプリングに、

コーナーウエイトに相当する300kgの荷重をかけると、

① のスプリングは、最初から、10kg/mmのレートを発生していますので、

300kg÷10kg/mm = 30mm のストロークとなります。

 

 

 

 

対して、② のスプリングは、初期のレートが表記より低く、

仮に縮みはじめ50mmまでの平均レートを6kg/mmとすると、

300kg÷6kg/mm = 50mm のストロークとなります。

 

 

 

 

そうです、この状態が、「1G」 と呼ばれる状態です。

 

 

 

そして、② のスプリングも、50mm以上のストロークでは、

表記どおり、10kg/mmのレートになると仮定すると、

「1G」 から、荷重が増える分には、両スプリングとも、

まったく同じ分だけ、荷重変化に対してストロークします。

 

 

 

が、しかし・・・、サスペンションは、縮むだけではありません。

「1G」 を境に、荷重によって、縮んだり、伸びたりします。

 

 

 

そして、縮むことに関しては、①も②も同等の変化となりますが、

伸びる部分では、大きな違いが発生します。

 

 

 

当然、1Gまでのストローク量の多い②は、

荷重が少なくなった状況では、伸び側のストロークが大きくなってしまうのです。

 

 

 

 

 

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この状況を抑制するため、

ダンパーのリバウンド側の減衰を強くし、

内側のスプリングの、伸び上がりを抑制するという、

ダンパーセットが、以前は主流でした。

 

 

 

しかし、HYPERCOスプリングの登場により、

荷重移動によるスプリングの伸びと縮み量が同じとなることから、

このリバウンド減衰による、制御は不要となりました。

 

 

 

結果、バンプとリバウンドの減衰力は、同じレベルとなり、

「スプリングとダンパーの分業化」 が、可能となったのです。

 

 

 

もちろん、リバウンドの減衰力が、弱くなったことで、

ストリートでの乗り心地も、大きく改善されたのです。

 

 

 

HYPERCO スプリングって、スゴイでしょ?

 

 

 

 

 

サスペンション
ダンパー講座③ 理想的なダンパーって?

2010年03月26日(金)

田中の思う、理想的なダンパーの条件は、2つ。

 

一つ目は、

「スプリングの動きに悪影響を与えないこと」 です。

 

スプリングは、荷重に比例して、

ストローク量(ロール量)を決定します。

 

この動きにダンパーが関与しないと、

荷重の移動量に比例して、クルマが傾いてくれますので、

ドライバーは、荷重の移動量が手に取るように把握できます。

 

要するに、「乗りやすい」 「限界がわかりやすい」 といった

ドライバビリティーの高いクルマになり、

セッティングの方向性も非常にシンプルになります。

 

 

二つ目は、

「ダンパーが動き始めた瞬間から、シッカリと減衰力が立ち上がること」 です。

 

みなさんのイメージでは、ダンパーが動き始めるのは、

ブレーキやコーナリングのアクションを起こした時ですよね。

 

でも、実際は、ずーっと、ダンパーは動いているのです。

 

下のグラフは、岡山国際サーキットの

裏ストレート部分のデータロガーです。

小刻みですが、かなり、動いているのが理解できると思います。

 

 

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ちょっと、見にくいですが、グラフ下の目盛りは、

時間軸となり、一番小さな目盛りが、コンマ1秒となります。

 

グラフから読み取ると、だいたい、1秒間に7~10回、

2mm程度、伸びたり縮んだりを繰り返していますよね?

 

 

ということは、ダンパーピストンも、

2mm程度、上下に動いているんですが、

この時、ピストンのシムの中に、

オイルが通過していないダンパーって、結構多いんです。

 

要するに、ステアリングでいうところの

「遊び」 が発生しているということです。

 

こうなると、動きはじめの最初の2mmは、

減衰が立ち上がらないダンパーとなり、

走行中の微振動で、上下4mmの間は、

減衰力がゼロとなってしまう場合があります。

 

この状態で、ギャップや荷重移動により、

急にダンパーが大きくストロークすると、

最大、動きはじめからの4mmの間、

減衰力がゼロの状態となり、

その後、急激に減衰が立ち上がってしまします。

 

 

また、減衰力がゼロだと、

当然、ダンパーのピストンスピードも上がってしまい、

その後、シムの間にオイルが通過しはじめる瞬間、

大きな減衰が突然発生してしまいます。

 

要するに、突っ張ってしまう、バネ成分の強いダンパーとなるのです。

 

 

反対に、最初の1mmに減衰があれば、

途中で、減衰に大きな変化がありませんので、

スムーズでしなやかな、スプリングと荷重の変化量に

的確に応じる、リニアな足廻りとなります。

 

 

 

これが、田中が求めている、理想的なダンパーの

2つの条件なのです。

サスペンション
ダンパー講座② ダンパーでロール量をセットアップするデメリット

2010年03月25日(木)

以前は、車高調と言うと、

ノーマルに比べ、ストローク量が少なくなることから、

その分、強い減衰が必要と考えられ、

レースの世界でも、10~15年ぐらい前までは、

バンプもリバンプも”ガチガチ”の時代がありました。

 

しかし、減衰力の高いダンパーを装着すると、

どうしてもダンパー自体がバネ成分をもってしまいます。

 

たとえば、スプリングレートは、10 Kgf/mmなのに、

それに、ダンパーの減衰力から発生するレート(バネ成分)、10 Kgf/mmが加わり、

ある部分では、20 Kgf/mmになってしまうこともあるのです。

 

 

では、ダンパーの減衰力調整を利用して、

「ロール量」 を変えると、何がいけないかを説明しましょう。

 

 

もし、スプリングのレートではなく、ダンパーの減衰で、

「ロール量」 を変えてしまうと・・・・・、

 

① ダンパーのストロークするスピードによって、減衰(スプリングレート)が変化する。

② ダンパーオイルの温度により、減衰(スプリングレート)が変化する。

 

といった理由で、不都合が発生します。

 

①の場合、ダンパーは、ストロークするスピードが速いと、

大きな減衰力が発生しますので、

コーナーの種類によってダンパー減衰を加味した

全体のバネレートが変化してしまいます。

 

たとえば、ハイスピードコーナーでは、

20 Kgf/mmのバネレートなのに、

ロースピードコーナーでは、12 Kgf/mmになったり、

コーナーの入口では、20 Kgf/mmのバネレートが、

コーナーの中では、15 Kgf/mm → 12 Kgf/mm と

いったように変化します。

 

 

また、②の場合、

ダンパーは、ダンパーオイルの温度が高くなると、

減衰が弱くなりますので、

同じコーナーの同じ場所でも、

最初のラップでは、20 Kgf/mmだったものの、

連続ラップで、ダンパーオイルの温度が上昇すると、

15 Kgf/mm → 12 Kgf/mm と変化します。

 

 

こうなると、ダンパーのバネ成分を加味した、

全体のスプリングレートが変化することから、

タイヤにかかる荷重の増減も変化し、

結局、ピーキーな特性から、

タイヤのグリップがうまく使えなくなってしまいます。

 

もちろん、その時々で、スプリングレートが変化することから、

ドライバビリティも、著しく低下してしまいます。

 

 

要するに、「ロール量」 が多いならば、

「ロール量」 を決めるスプリングのレートを上げるべきです。

 

 

そうすると、どこのコーナーでも、コーナーのどの部分でも、

荷重にリンクした、「ロール量」 となり、セットアップもシンプルで、

ドライバーも動きを把握しやすくなります。

 

これをダンパーで行うと、あまりにも変化してしまう要素が多すぎて、

セッティングもドライビングも複雑になるだけなのです。

 

ダンパーの減衰で、セットアップするのは、

「ロール量」 ではなく、「ロールスピード」 です。

 

スプリング →  荷重の増減によって、”ロール量”を決定する

ダンパー  →  ロールのスピードを決定する

 

 

といった、完全分業が、一番シンプルで、

ドライバーは荷重移動のインフォメーションが把握しやすく、

タイヤのグリップを最大限に活用できるのです。

サスペンション
ダンパー講座① ダンパーの仕事ってなに?

2010年03月24日(水)

サスペンションの構成部品であるダンパー。

 

TM-SQUARE のダンパーキットも、

発売直前ということで、ちょっと、ウンチクを

何回かに分けて、書きたいと思います。

 

 

 

 

ダンパーを装着する、最大の目的は、

タイヤのグリップを最大限に発揮させることと、

ドライバビリティー(走りやすさ)を向上させることです。

 

では、そのために、ダンパーは、

いったいどんな仕事をしているか、説明しましょう。

 

ダンパーの仕事は大きく分けて2つあります。

 

① スプリングの伸び縮みするスピードを制御する。

② 走行中のピッチングを抑制する。

 

「スプリングの伸び縮みするスピードを制御する」 とは、

コーナーでハンドルを切り込む手前から

コーナーの中で、最大ロールするまで、

スプリングをどんなスピードで縮ませるかを決定することです。

 

コーナーの入口近辺で、最大ロールにして、

クルマの傾きを止めた状態で、クリップまで行くのか、

それとも、クリップまで、徐々にロールを増やしながら、

コーナーに進入するのかを決定します。

 

もちろん、加速や減速でのクルマの傾くスピードも

ダンパーの減衰力が決定しています。

 

 

 

rool

 

 

 

また、ここでよく勘違いされるのは、

ダンパーの減衰力でロール量を変化させようという考えです。

 

これは、間違った考えで、

 

あくまでも、

スプリングレート →  ロール量を決定させる

ダンパーの減衰 →  ロールスピードを決定させる

 

であるということを、よ~く覚えておいて下さいね。

 

 

そしてもうひとつの仕事、

「走行中のピッチングを抑制する」 とは、

カンタンに言うと、ギャップに乗り上げた後、

いつまでも、”フワフワ”とクルマの揺れが止まらない状態を、

ダンパーの減衰力で安定させることです。

 

でもね、この部分は、ノーマルカーとチューニングカーで、

必要性が違ってきます。

 

 

ノーマルカーでは、使用するスプリングが、

大径で、レートが低く、ストロークも大きいことから、

ギャップに乗り上げると、ピッチングは発生してしまいます。

だから、ダンパーの減衰によって、それを止めなければなりません。

 

しかし、チューニングカーやレーシングカーでは、

直巻きスプリングに代表されるように、

小径で、レートが高く、ストロークが短いため、

ギャップに乗り上げた後、いつまでもクルマの揺れが

止まらないようなことにはなりません。

「ホントに~?」 と思われるかもしれませんが、

スプリングレートが高い、直巻きタイプでは、

“フワフワ”する原因である、「固有バネ振動数」 が、

通常使用域にリンクしないため、この症状は、発生しなくなるのです。

 

 

だから、スポーツ走行を目的に、装着された

直巻きタイプでは、

② 走行中のピッチングを抑制する。  ということは、

ダンパーの仕事として、受け持つ必要がないのです。

 

 

このように、ノーマルカーとチューニングカーでは、

ダンパー減衰の必要性が、一部違うんですね~。