ブレーキの踏み方 ⑦

2009年03月18日(水)

スピードにより、同じ踏力でも、μ が

違ってくるという話、理解してもらえましたか?

 

じつは、このスピードに対しての μ 変化には、

ほとんどのドライバーは対応することができます。

 

成功率は95%レベルでしょうか?

 

しかし、変化するものが、もうひとつ加われば、

ほとんどのドライバーは、

変化に対応することができなくなってしまうのです。

 

たとえばですが、踏力に対して、

ブレーキの効きが加速的に立ち上げるような、

ピーキーなブレーキ特性では、

まったくもって、ドライバーがブレーキを絶妙に

コントロールすることは、不可能です。

 

下のグラフを見て下さい。

 

effect_graph1

 

このグラフは、踏力を徐々に立ち上げたとき、

ブレーキパッドがどのような効きを示すかを

グラフ化したものです。

 

そうです、これにより、

ブレーキパッドの特性(キャラクターが)が

わかるのです。

 

もちろん、理想は、踏力のラインと同じように、

効きが立ち上がるのが、BEST です。

 

そして、特に  「D」  のような特性を持っている

ブレーキパッドは、最悪です。

 

こうなると、いくらドライバーが、

スピードにより、少しずつ変化する制動力を

コントロールしようとしても、

ブレーキの効きが途中で大きく変化し、

コントロールができなくなってしまいます。

 

でもね、この 「D」  タイプを

サーキットで使っている人、すごく多いと

田中は思います。

 

そして、そんなドライバーに限って、

うまく走れないのは、自分のドラテクが

まだまだだと、思ってるんですね~。

 

正直、このタイプのブレーキパッドでは、

レーシングドライバーが乗っても、

限界ではコントロールできないと、

思います。 いや、断言します!

 

自信を持って、初期の踏力を立ち上げるためにも、

ブレーキパッド摩材のキャラクターは、

とっても重要です。

 

やっぱり、ドラテクを磨くなら、

適正な道具で練習しないと、

いつまでたっても、ゴールにはたどり着かないのです。

ブレーキの踏み方 ⑤

2009年03月17日(火)

ブレーキの踏み方 ④ は、

かなりマニアックでしたが、

理解できましたでしょうか?

 

今回は、一箇所のブレーキだけではなくて、

サーキットをトータルで考えてみましょう。

 

まずは、下のグラフを見てください。

 

logger_okayama1

 

このグラフは、レーシングカーで、

岡山国際サーキットを走行したときの

スピードとブレーキ踏力のグラフ(データロガー)です。

 

ドライバーの感覚から、

減速(シフトダウン)を伴うコーナーでは、

すべて、ロックするかしないかの、

ギリギリを狙っているのにかかわらず、

ブレーキ踏力は、コーナーによってかなり違っています。

 

そして、この踏力は、スピードに比例しています。

 

要するに、高いスピードからの減速になればなるほど、

初期のブレーキ踏力は強くなっていますよね?

 

これこそが、スピードにより、μ が、

変化していることへの実証です。 

 

すいません、今回もマニアックな話で。

 

サーキット別のデータロガーは、こちら  をどーぞ。

ブレーキの踏み方 ④

2009年03月16日(月)

今回は、ブレーキの踏み方の

もう少し、突っ込んだ、話を。

 

まず、下のグラフを見てください。

introduction_graph1

 

これは、WEBサイト内に表記している、

富士スピードウェイの1コーナーをレーシングカーで走ったときの

データロガーです。

 

ここで見てもらいたいのは、

① のブレーキ踏力の立ち上がりです。

 

250km/h オーバーのスピードから、

一気に最大踏力まで立ち上がっていますよね。

 

また、グラフの下の目盛りは、距離となっていますので、

それを読み取ると、ブレーキの踏み始めから、

最大踏力まで、約15メートル !

 

これぐらい、躊躇なく、一気に踏んでも、

安定してブレーキが効いてくれる

ブレーキパッドでないと、サーキットでは使えないのです。

 

そして、最大踏力の状態から、距離が進むと、

少しずつ、踏力が緩んできています。

 

これが、前回話をした、

スピードが落ちることにより、

μ が上がってくることに対する、踏力の調整です。

 

ということは、この ① と ② の間では、

少し踏力が緩んではいるものの、

ブレーキから発生している、制動力は、

ロックするかしないかの、ぎりぎりのラインを

キープしているのです。

 

こうして、ロガーで見ると、

ハッキリわかりますね。

 

ではでは。

ブレーキの踏み方 ③

2009年02月27日(金)

今回もブレーキの初期踏力のお話を少し。

 

そもそも、なぜ、ブレーキの初期は強い踏力が

必要なのでしょうか?

 

その理由は、ロータの回転スピードに秘密があります。

ブレーキは、回転するロータに摩材を こすり付けて、

その摩擦で制動力を生み出しますが、

ロータの回転が速い(スピードが高い)状態と、

ある程度、減速が進み、ロータの回転が、

遅くなってきた状態とでは、発生するμ(ミュー)が違うからです。

 

この場合、ロータの回転スピードが速いと、μは低くなり、

回転スピードが遅いと、μは高くなります。

 

だから、同じ減速でも、ストレートエンドの

スピードが高い状態からのブレーキでは、

踏力をガツンかけても大丈夫。

 

いや、ガツンと踏まないとシッカリ減速ができないのです。

反対に、テクニカルセクションのブレーキでは、

ロータの回転スピードが低いので、ガツンとかける必要はないのです。

 

もちろん、このロータの回転スピードによる、ブレーキの効き方は、

パッド摩材により違ってきます。

 

と、言うことで、ZONE の WEB サイトでは、

各摩材の特徴説明で、スピード域により、どのようにμが変化するか、

グラフで表記 しているのです。

(最下段 左側)

 

ZONE って、やっぱ、マニアって言うか、

サーキットで使うドライバーのこと、シッカリ考えてるでしょ?

ブレーキの踏み方 ②

2009年02月26日(木)

先日、初期のブレーキの踏み方について書きましたが、

今回は、その続きです。

 

サーキットでブレーキの上手な人は、

絶対と言っていいほど、初期の踏力が強いです。

 

要するに、ガツンと強く踏んでも、

クルマをコントロールができる自信があるから、

強く踏めるのですが、

みんな、はじめから強く踏めたわけではないのです。

 

当然、はじめは強く踏めず、トライ&エラーを繰り返し、

強く踏めるようになったと思います。

 

その時、ドラテクの成長を大きく妨げるものがあります。

それは、ブレーキパッドの摩材チョイスです。

 

サーキットでラップタイムを出すためには、

初期の強いブレーキ踏力が必要不可欠です。

 

ブレーキが強く踏めない → 効きの強いパッドにする               

              は、NG。

 

ブレーキが強く踏めない → 強く踏めるように練習する

            が、◎ なのです。   

 

ここで、初期を強く踏んでも、安定して効いてくれるパッドを

チョイスできていれば、あとは、ブレーキパッドが、

どれぐらい強く踏むか教えてくれます。

 

ブレーキ摩材も、奥が深いでしょ?

ぜひ、ぜひ、ZONEで、ブレーキングのスキルアップに

挑戦してみてください!!

 

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ブレーキの踏み方 ①

2009年02月25日(水)

一昨日は、「杜の都 仙台」で

代理店さんへの商品説明会を行いました。

 

こちらの代理店さんは、

社員全員がバリバリのサーキットマニアで、

開発段階から、かなりお世話になっています 。

 

そういえば、今から1年ぐらい前に、

ZONE の試作品を確認してもらうと、

「使えない!」 とかなり手厳しいコメント。

 

そして、制動力違いの試作品も

NGを出されてしまいました・・・・・。

 

でも、そんなハズはないと思い

一路、走行会が行われている、仙台ハイランドへ。

 

こちらの代理店の方々は、

もう10年以上サーキットを走っているエキスパート。

 

手強いのは覚悟の上で、

田中のドライブでパッドを試させていただきました。

 

で、走り始めると・・・・・、

「効きとリリースコントロール性能が完璧なバランス!」

もう、こうなれば、同乗走行しかないと思い

オーナーを助手席に乗せピットアウト。

 

そして、走行終了後にブレーキの踏み方がわかった!」とオーナー。

なんと、その後の走行で、

自己ベストを2秒も短縮したのです!!!

 

そうです、ZONEは、一気に踏力を立ち上げても、

ピーキーな制動特性にならないように作りましたので、

思い切ったブレーキングが可能となるのです。

 

マガジンの山田編集長の言葉を借りると

ZONEをはじめてを試したときのフィーリングは、

「あっ、ホント効かない!」 だったようです。

 

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でも、その分ガツンと踏んでも安定して効いてくれ、

そして、奥でのロックコントロールも簡単にできる。

 

要するに、もし、いままで使用していたパッドが、

少しでも効きが強いタイプなら、

ブレーキ踏力の立ち上がり部分を少し変える必要があるようです。

 

そうです、ラップタイムが出る、正しいブレーキに、

この初期のブレーキングができれば、

十分な制動力を発揮し、

そして、ブレーキの後半、タイムアップに必要不可欠な、

リリースコントロール性能も同時に手に入るのです。

 

反対に、初期踏力をガツンとかけられないパッドでは、

タイムアップに直結するリリースコントロール性能は、

手に入りません。

 

 

でも、ブレーキの踏み方ひとつで、2秒はスゴイ!