
スイフトスポーツにとって、初のTURBOエンジン搭載モデルとなった ZC33S。コンパクトでありながら、ハイパワーを発揮するK14C型エンジンは、非常に静粛性にも優れています。
しかし、裏を返せば、エンジンマウントがノイズや振動を吸収して静粛性を維持している分、加減速時に、エンジンは大きく動いているということになります。そして、このエンジンの動きは、サーキットを走ると大きなデメリットとなります。
なぜなら、TURBOラグにて、通常でもアクセルレスポンスが悪い状況の中、エンジンが大きく動き、よりアクセルレスポンスが悪くなることで、アクセルのコントロール性が大きく悪化するからです。なお、アクセルを踏みはじめた瞬間のレスポンスが悪く、その後、一気に加速することから、非常にU/Sを誘発しやすい状況となります。
また、スイフトスポーツは、室内から2本のワイヤーを介してシフトチェンジを行うため、アクセル操作と、シフトチェンジが重なると、エンジンと一緒に固定されているトランスミッションも大きく動くことでギアが入りにくい状況も発生します。
そこで、アクセルレスポンスの向上と、シフトフィールの向上を目指して、強化エンジンマウントの登場となるのですが、エンジンマウントの強化は、メリット/デメリットの両面を伴います。
メリット ⇒ シフトフィールやアクセルレスポンスといったスポーツ性が大幅に向上 デメリット ⇒ ストリートにおける振動の抑制や静粛性といった快適性が損なわれる
TM-SQUARE では、この メリット/デメリット のバランスを確認するため、2種類のゴム硬度にて、強化エンジンマウントを試作しました。また、合計3箇所あるエンジンマウントの中で、どの箇所を強化すると、最小限のデメリットにて、大きくメリットを向上させられるかを確認するため、以下のテストを行いました。
テスト1 | テスト2 | テスト3 | テスト4 | テスト5 | テスト6 | |
---|---|---|---|---|---|---|
A(右前) | 純正 | 試作品① | 試作品② | 純正 | 純正 | 試作品② |
B(左前) | 純正 | 試作品① | 試作品② | 純正 | 試作品② | 純正 |
C(後方) | 純正 | 試作品① | 試作品② | 試作品② | 試作品② | 試作品② |
アイドリング振動 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 |
ダッシュのビビリ音 | 5 | 5 | 4 | 5 | 5 | 4 |
ギアノイズ | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 |
アクセルレスポンス | 5 | 7 | 10 | 7 | 6 | 8 |
シフトフィール | 5 | 7 | 10 | 7 | 7 | 8 |
クラッチミート | 5 | 7 | 8 | 7 | 6 | 7 |
※ 3箇所に装着されているエンジンマウントを A(右前) B(左前) C(後方)と、分類する
※ 純正品の評価を5(10段階評価)とする
※ 評価は、ポイントが高いほどメリットが大きく、ポイントが低いほどデメリットが大きい
以下、各テストのコメント
テスト1
A 純正 B 純正 C 純正
空吹かし時でも、エンジンが大きく動いていることを感じる
アクセルOFF → アクセルON のレスポンスが悪い
アクセル操作と、シフトチェンジが重なると、ギアが入りにくい
テスト2
A 試作品① B 試作品① C 試作品①
快適性は、あまり犠牲にならないが、メリットも多くない
非常に快適だが、アクセルのON/OFFで、エンジンの動きが抑制できていない
少々、中途半端なバランスで、アスリート系には物足りないように感じる
テスト3
A 試作品②
B 試作品②
C 試作品②
シフトフィールは、純正でも不満を感じなかったが、交換することで大きく向上する
アクセルレスポンスも、コントロール性も、大幅に向上し U/S が抑制される
また、快適性は少しだけ犠牲になるが、許容できる範囲
テスト4
A 純正 B 純正 C 試作品②
快適性をほとんど犠牲にすることなく、シフトフィール、クラッチミート、アクセルレスポンス等を向上させたいニーズにはピッタリ。(ストリート、ワインディングに◎)
テスト5
A 純正
B 試作品②
C 試作品②
快適性は、かなり確保されるが、メリットダウンも大きい
また、アクセルONのタイミングに、トラクション バランスの悪さを感じる
テスト6
A 試作品②
B 純正
C 試作品②
Aの硬度は、メリット、デメリットとも、かなりのポイントとなる(評価に大きく関与する)
バランスは悪くないが、中途半端で必要性を感じない
そして、上記のテスト結果を元に、試作品②のゴム硬度にて、サーキット走行をはじめとする各種スポーツ走行に最適な3個セット(右前、左前、後方を交換)と、ストリート、ワインディングに最適な1個セット(後方のみ交換)のバリエーションにて販売することになりました。
TM-SQUARE TV (TM-SQUARE動画チャンネル)
「ZC33S 純正エンジンマウント VS TM-SQUARE強化エンジンマウント」
ZC33S純正エンジンマウントと、TM-SQUARE強化エンジンマウント装着時の、エンジンの動きの違いにご注目ください。
強化エンジンマウント ZC33S




※ リアのみを装着されている方向けに、フロント左右セットのご用意もございます。詳細はお問い合わせ下さい。

------------------ TM-SQUARE 強化エンジンマウント の開発ポイント ------------------
強化エンジンマウントは、メリットも、デメリットも、存在するパーツで、メリットが大きいほど、デメリットをも大きくなる特性があります。
もちろん、デメリットを無視して、メリットのみを追い求めると、レーシングカーのようにエンジンをボディーにリジット固定(ゴム製のエンジンマウントではなく、金属のブロックによりボディーに固定)する方法が一番、スポーツ性は向上します。しかし、快適性は完全に損なわれ、激しいノイズと振動により、室内で会話することも難しい状況になります。
TM-SQUAREの強化エンジンマウントは、快適性を大きく犠牲にしてメリットのみを求めた商品ではなく、犠牲にする快適性を「田中ミノル」が設定した基準内とし、その中で可能な限りスポーツ性を向上させた商品となります。
ストリートでの快適性をクリアーしながら、スポーツ性を大幅に向上させる。TM-SQUAREが求めたのは、まさに、このバランス感覚です。