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スプリングの遊びについて(その1)


スイフトのリアに採用されている、トーションビーム式サスペンションでは、ダンパーとスプリングが別体式(セパレートタイプ)になっています。この場合、 ストラット式等のコイルオーバータイプとは違い、スプリングの長さと、スプリングレートが、直接車高に影響します。

下の図を見てください。

1G状態(図2)

        1G状態 = クルマが地面の上で静止している状態
        0G状態 = クルマがジャッキアップされて、タイヤが空中に浮いた状態


図のように、車高が決まる要因は、1G状態(車重でスプリングが少し縮んだ状態)での、スプリングの長さ「A」です。この部分が長くなると車高が上がり、短くなれば車高が下がります。よって、同じレートでも、スプリングの自由長が長いと車高は上がります。

また、同じ自由長のスプリングでも、ハイレートになると1G状態での縮み量が少なくなることから車高は上がります。

     スプリングの自由長が長い       → 車高は高くなる方向
     スプリングの自由長が短い       → 車高は低くなる方向
     スプリングレートが高い(ハイレート) → 車高は高くなる方向
     スプリングレートが低い(ローレート) → 車高は低くなる方向


では、次の図を見てください。

0G状態(図2)

これは、図1の状態からジャッキアップし「0G」にした状態です。
車高を下げるために、短い自由長のスプリングを装着すると、図2のようにスプリングに遊びが発生する状況があります。コイルオ-バー式だと、仮にスプリングに遊びが発生しても、スプリングが脱落することはありませんが、セパレートタイプの場合は、最悪スプリングが脱落してしまう非常に危険な状況となります。
このように、車高を下げるために、短い自由長のスプリングを装着する場合は、0G状態でのダンパーの長さ「C」がとても重要となります。純正ダンパー等、0G状態にてダンパー長「C」が長いタイプでは、スプリングに遊びが発生することから、短い自由長のスプリングを使用することはできません。しかし、全長調整式ダンパーなら、このように発生したスプリングの遊びに対して、ダンパーを短く調整することで遊びをなくすことが可能となります(下図参照)。



0G状態(図3)

全長調整式のダンパーを使用し、図2の「C」の長さを、図3の「D」の長さに変更すれば、 スプリングは、0G状態で遊ばないようになります。

 ※ 全長調整式の場合、ダンパーの長さが、どれぐらい短く調整できるかにより、使用できるスプリングの自由長が決定されます。


スプリングの遊びについて(その2)

その2では、トーションビーム式サスペンション(スプリングとダンパーがセパレートしているタイプ)に、車高調整機能付きのブラケット + 全長調整機能付きダンパーが 装着されている場合の解説を行います。

まず、下の図1を見てください。

(図1)1G状態

図1は、車高調整機能付きブラケットを図解したものとなり、スプリング上端に装着されているアッパーシートを Ⓐ の方向に調整すると車高が下がり、Ⓑ の方向に調整すると車高が上がります。そして、Ⓐ の方向に調整する場合、少し注意が必要です。

下の図2を見てください。

(図2)0G状態

これは、車高調整機能付きのブラケットを、図1の状態からアッパーシートを Ⓐ の方向に調整し、ジャッキアップをして0G状態にしたときの状態を図解していますが、この調整により、スプリングに遊びが発生しています。そして、この遊びを取るには、ダンパーの長さを現行より短くなるように調整しなければなりません。

下の図3を見てください。

(図3)0G状態

図2のダンパーの全長を調整し、スプリングの遊びをなくした状態です。
要するに、セパレートタイプでは、車高(アッパーシートの位置)によりダンパーの長さを調整しなければならないということです。また、ダンパー長の調整幅によっては、装着できるスプリングの長さや、車高(アッパーシートの位置)に制限が発生することがあります。もし、上図のダンパーが全長調整式ではない場合は、必ず図2の Ⓒ 以上の自由長があるスプリングを使用するか、アッパーシートの位置を遊びが出ない位置に固定する必要がありますが、これらの場合、車高はあまり下がらない方向となります。

以上のように、スイフトのリアスプリングは、自由長、レートにより、設定できる車高の範囲が限定され、また、ダンパーの長さや調整幅によっては、使用できるスプリングの自由長や、車高(アッパーシートの位置)に制限が発生することがあります。







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