田中ミノル式  FF 機械式 LSD 完全解説  「曲げるための LSD 有効活用法」③

Content3では、Content2の 「イニシャルトルク」 に続き、「カム角」 の解説をしましょう。


LSD には、ドライバーが、アクセルによって、
加速/減速(除く、1way) といったアクションを起こしたとき、デフのロックが強くなるように、
カム と呼ばれる ものが、装着されており、その カム の角度のことを 「カム角」 と言います。



そして、このカム角 を機構的に説明するのではなく、
ドライバー視点にて、ドライビングに必要な部分だけを 超カンタン に、説明するならば、


「LSD の効きが、一番強いポイントを決定するファクター」

となり、下図  B のポジション が、カム角の大小により、変化するのです。




このように、LSD の効きが、

一番 「弱い」 ポイントを決定するのが、イニシャルトルク で、
一番 「強い」 ポイントを決定するのが、カム角 なのであります。



また、カム角の違いによる LSD の効きを
イメージグラフで表現すると、下記の感じとなります。





いかがでしょうか?
なんとなく、イメージが伝わるでしょうか??


このように カム角 は角度の表記となり、

角度が大きいと、より速く、そしてより強く ロック し、
角度が小さいと、マイルド に ロック する方向となります。

※ 効きの強さとスピードは、LSD の種類、イニシャルトルク、使用オイル
  によっても変化します。



また、この カム角 は、加速側、減速側の 2種類が設定されており、
FF の場合、加速側 (アクセルON にて、加速している時) の 方が、
減速側 (アクセルOFF にて、エンジンブレーキが効いている時) より、
LSD の効き (ロック) が強くなる設定となっています。



なお、どの程度のロックを強いと感じるかは、
ドライバー、セットアップ、使用タイヤ、使用ステージによって、大きく異なりますが、
誤解を恐れずに、角度と効きの強さをイメージでお伝えすると・・・・・・・、



加速側

40度未満  →  カム角 小   効き弱め

40~50度  →  カム角 中   効き中間

50度以上  →  カム角 大   効き強め



減速側

0~5度    →   カム角 小   効き弱め

5~20度   →  カム角 中   効き中間
  
20度以上  →  カム角 大   効き強め


といった感じです。


たとえば、 加速側 60度   減速側 0度 であれば、
加速側は、強め  減速側は、弱め のセットアップ。


加速側 45度   減速側 30度 であれば、
加速側は、強めと弱めの中間  減速側は、強め のセットアップとなります。
※ 上記の評価基準は、田中ミノルの個人的見解となります。



そして、LSD は、カム角 の組み合わせから、
以下の3つのジャンルに分類されることもあります。



加速側と、減速側のカム角が同じもの               2way
(加速側と、減速側が、同じ強さでロックされるタイプ)
たとえば、加速側 45度  減速側 45度 等。



加速側と、減速側のカム角が違うもの              1.5way
(加速側に対し、減速側のロックの方がやさしいタイプ)
たとえば、加速側 50度  減速側 10度 等。
※ 減速側 0度 を除く



加速側(カム角設定あり)、減速側(カム角 0度)のもの    1way
(減速側は、カム角にてLSDがロックしないタイプ)
たとえば、加速側 40度  減速側 0度 等。



FF 車両の場合、一般的には、1.5way と、1way が、主流となりますが、
1.5way の中には、減速側のカム角が、1度でも、30度でも、1.5way 表記
となりますので、少々混乱しますね・・・・・。


要するに、同じ1.5 way 表記であっても、1way と、ほとんど変わらないものから、
かなり、2way 寄りのものまで、幅広くありますので、
この way 表記ではなく、たとえば、45-10 とか、60-05 といったように、
カム角 で覚えてしまうと、もっと、その LSD のキャラクターが、
明確に理解できるかも知れないですね。



いや~、今回も、マニアックですいません・・・・・・。



Content2 & 3のポイント をまとめますと、

加速時のロックの強さ  →  イニシャルトルク + 加速側のカム角 で決定

減速時のロックの強さ  →  イニシャルトルク + 減速側のカム角 で決定

加速も減速もしていないときのロックの強さ  →  イニシャルトルク で決定


といったことです。



以上のことから、セットアップの方向性としては・・・、


加速も減速もしていないときのロックと、
減速時のロックをマイルドにして、
加速時のみロックを強めたいなら、

イニシャルトルク弱め、加速側のカム角(大)、減速側のカム角(小)となり、



加速時も、減速時も、
そして、加速も減速もしていないときのロックも強くしたいなら、


イニシャルトルク強め、加速側のカム角(大)、減速側のカム角(大)となります。



このように、LSD の効きの領域を 「イニシャルトルク」 と、「カム角」 で設定し、
この範囲の中で、アクセル の ON /OFF により、LSD の効き(ロック率)を変化させる。


そして、このロック率の変化を活用し、コーナリング に アドバンテージ を発生させること、
それが、LSD を使用する メリット となるのです。



以上で、LSD の基本的な機能の解説は、終了となり、
Content4からは、いよいよ!!
LSD を ドライバーが、どのように活用することで、
速く走ることが出来るのかを ドラテクを交えて解説したいと思います!





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  • ※本編は、田中ミノルが今まで経験したことを元に、私的な見解にて、解説を行っておりますので、物理的な裏付けはありません。また、実際に、本ドラテクを活用されたことにより発生したトラブル等に関しては、田中ミノル および ㈱ミノルインターナショナルは、一切責任を負いませんので、すべて自己判断にてご活用下さい。
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  • ※途中からご覧になりますと、理解できない部分が発生しますので、Content1から順にご覧ください。