シャルルの法則
気体(空気)は、温度が上昇すると、体積が増えるという性格を持っています(シャルルの法則)。
同じ圧力下において、温度が1℃上昇すると、体積は 約0.366% 増加します。
仮に、空気の温度が40℃上昇したとすると、体積は 14.6% 増えることになります。
40℃ × 0.366% ≒ 14.6%
しかし、空気の体積が増えても、酸素の数は変わりません。
下の図を見てください。
図からもわかるように、気体の温度が上昇し、体積が増えたとしても、空気が膨張するだけで、
酸素の数は変わりません。結果、同体積での比較では、酸素密度が低くなってしまいます。
ご存知のように、クルマのエンジンは、エンジン内に取り入れた空気(酸素)と、ガソリン(炭素&水素)を
爆発させ、動力を得ています。
これらのことを吸気温で考えると、
一回の吸入工程で取り入れられる空気量は、排気量(ピストンの工程容積)で、決まっていますので、
吸入する空気の温度が低い方が、吸入できる酸素数が多くなり、爆発の力も強くなるのです。
また、吸入される酸素数に合わせて、噴射するガソリンの量を決定しているのが、ECU です。
ですから、ECU では、吸気温度を絶えず感知し、その温度に最適なガソリン噴射量を決定しています。
以上のことから、吸入空気の温度が低いことは、エンジンパワー的には非常に大きなアドバンテージとなります。
同時に、圧力(気圧)によっても、酸素数は変化します。
当然、圧力が高く、空気が圧縮されている状態のほうが、同一容積での酸素数は多くなります。
ターボチャージャーや、スーパーチャージャーが、吸入空気に圧力をかけ、大きなパワーが生み出しているのは、
まさにこの原理です。
NAの場合、吸入空気に圧力をかける、「ラム圧」 と呼ばれる方法論があります。
これは、走行風を利用して、インテークBOX内の圧力を上げる仕組みとなっていますが、
風洞実験による綿密な計算と、巨大な体積のインテークBOXが必要となり、
スペース的な制約のある純正車輌のレイアウトでは、的確な「ラム圧」を得ることは、不可能です。